こんにちは。カウンセリングオフィスボイスのうえだふみこです。
自分以外の誰かがほめられると妬んで、競争心を燃やし足を引っぱる。
親切を装って「○○さんから聞いたんだけど」と言って、あなたのうわさ話をわざわざ耳に入れてくる。
ちやほやされていないと気が済まなくて、いつも誰かを自分の味方につけようとする。
こんなことをするのは子どもだけでなく、大人の女性でも結構見かけます。
いわゆる「めんどくさい女」。
この記事では、「めんどくさい女」のメカニズムと自分の身を守るための対処法についてお伝えしますね。
「めんどくさい女」はこうして作られる
女性が一定数いれば、どの社会、どの組織、どのコミュニティにも、「めんどくさい女」は存在するもの。
果たして「めんどくさい女」は憎むべき存在でしょうか?
「自分」と「誰か」の比較関係の中で生きている
「めんどくさい女」の特徴として、
・女性にひどく嫉妬する
・他の女性と自分を比較する
・嫉妬の対象をおとしめる
などが挙げられます。
それは『白雪姫』や『シンデレラ』の継母や意地悪な姉たちのイメージそのもの。
自分と白雪姫を比べ、自分とシンデレラを比べる。
いつも「自分」と「誰か」との関係の中で生きているので、自分より「誰か」が選ばれたり、ほめられたりすると、自分が否定されたと感じて攻撃せずにはいられない。
物語の世界では王子様が現れて、白雪姫もシンデレラも「めでたしめでたし」で終わりますが、現実の世界はそうはいきません。
「めんどくさい女」は次なるターゲットを見つけて攻撃を続けるのです。
癒しを求めている傷ついた心
ターゲットにされた女性が救われるためには、「めんどくさい女」をただ批判するだけでは不十分です。
大事なのは、「めんどくさい女」が作られた背景や事情を理解すること。
自分にはないものを持っている女性がほめられ選ばれることが、なぜこれほどまでに「めんどくさい女」を傷つけるのでしょうか?
その背景には幼少期の育てられ方、周りから植えつけられた価値観などが根強く影響しています。
・きょうだいや近所の子ども、同級生と比べられてきた
・「~すべき」という大人の期待に一生懸命応えてきた
・したいことを我慢して自己犠牲的に生きてきた
こんな境遇を生きてきた人がすべて「めんどくさい女」になるわけではありません。
ただ世の中には2種類の人がいます。
一つは自分が傷ついた経験があるから、他人に優しくなれる人。
もう一つは自分が傷ついた経験があるから、他人に厳しくなる人。
「めんどくさい女」は「私だってこんなにつらい思いをしたのよ!」と言わんばかりに、自分が味わったつらい苦しい思いを相手に思い知らせる形で共感を得ようとします。
これは傷ついた心を癒す試みなのです。
「人は傷ついた分だけ優しくなれる・・・」なんて歌詞がありますが、それができる人とできない人に分かれるのは、傷が癒されたか、癒されていないかが大きな違い。
「めんどくさい女」に必要なのは、満たされていない思いや傷ついた心が癒されることなのです。
「めんどくさい女」とのつきあいを避けられない場合
いくら「めんどくさい女」に事情があったとしても、自分の生活圏にこんな人がいたらやっぱり関わりたくない。
職場の上司や同僚、ご近所づきあい、ママ友仲間など、距離をとりたくてもなかなかできない場合はなおさらのこと。
ここでは「めんどくさい女」と関わるときの具体的な対応策をお伝えします。
媚びてしまう自分に寄り添う
自分でも嫌だなと思いながら、「めんどくさい女」の自慢話をおだてながら聞いたり、言うつもりのなかった誰かの陰口に便乗してしまう。
そんな自分に嫌気がさすことがあっても、あなたが今置かれた環境の中で生き抜いていくには、それは自分を守るための手段だということを知っておいてくださいね。
たとえば野生の世界で生きる動物は勝ち目のない相手とは戦わず、逃げて身を守ろうとします。
でも逃げることもできず襲われてしまったら、次の段階として仮死状態になります。
動物は死んだものを襲わないという習性があるので、死んだふりをして少しでも生き延びようとするのです。
人間の場合は動物のように生きるか死ぬかの世界では生きていませんが、相手をやりこめることもできず、その場から逃げることもできない状況はよくあります。
そんなとき自分の感情や感覚を感じないように解離を起したり、相手に媚びたりしてなんとか自分の身を守ろうとするのは生き延びる防衛策なのです。
だから、もしあなたが「めんどくさい女」に媚びていたとしても、自分を責めるのではなく、そうせざるを得ない自分に優しく寄り添ってほしいのです。
「私はそれくらい追いつめられているんだな」
「私は自分を守るために必死なんだな」と。
反感を買わないで自分を守るには?
「めんどくさい女」は否定されること、拒絶されることに敏感であることを念頭に置きましょう。
ここでは3つのよくある場面について見ていきます。
1)うわさ話や陰口を聞かされて同意を求められたとき
「人の口に戸は立てられぬ」と言うように、うわさ話や陰口は止められません。
ましてや「あなたもそう思うでしょ?」と同意を求められて、うなずきでもしようものなら共犯者扱いにされることに。
でも、うわさ話や陰口は表面的ではありますが、人と人をつなげる接着剤のような役割があります。
なので、そういう話題が出たときは、「この人は誰かとつながりたいんだな」「分かってくれる味方がほしいんだな」と思って、「そんなことがあって嫌だったのね」「それは大変だったね」と共感するにとどめます。
2)誘いを断りたいとき
「めんどくさい女」から「否定された」と思われずに断ることが大事です。
まずは誘ってくれたことに感謝の気持ちを伝えること。
「誘ってもらって嬉しいけど、その日は○○があるので難しいかな。また今度誘ってね」
理由は必ずしも本当のことでなくてもいいのですが、嘘をつくと罪悪感がわく場合、半分は嘘で半分は本当のことをまじえるといいでしょう。
3)ミスを指摘しなければならないとき
「めんどくさい女」は必ずしも年上ばかりとは限りません。
あなたが上司や先輩という立場にいて、業務上どうしても「めんどくさい女」のミスを指摘しなければならないとき、相手の機嫌を損ねずに伝えるのは頭を悩ますところ。
そんなときは相手の人格を否定しないで、行動だけを指摘します。
たとえば「あなたって、こういうミスをよくするよね」と言いたいところを・・・
「○○の部分はよかったけど、ここは修正した方がいいみたい」と、プラスの面を先に伝える。
「ここを修正したら、もっとよくなると思うよ」と、より完成度が高くなるための提案をする。
まとめ
「めんどくさい女」がいるということは、その影響を受けている人がいることを意味しますが、「あの人、めんどくさいよね」と言ってその場をしのいでも、現状はなかなか変わりません。
「めんどくさい女」と化してしまうには、それ相応の傷ついた経験や生きづらさを抱えているという視点で見てみましょう。
ただいくら癒されない傷を抱えていたとしても、あなたが無理をして傷を癒してあげる必要はありません。
まず、あなたが自分を守ることを最優先に考えて、「これなら、できそう」と思う対処法を実践してみてくださいね。
<参考文献>
水島広子(2014):女子の人間関係.サンクチュアリ出版.