こんにちは。カウンセリングオフィスボイスのうえだふみこです。
ストレス対処法ってスマホや本ですぐ見つけられるけど、たくさんありすぎてどれがいいのか分からない・・・。
職場の○○さんがいいって言ってたけど、これって私に合ってるの?
効果を感じられないのは、努力が足りないから?
ストレスをなんとかしたいのに、対処法を見つけること自体がストレスになっているなら、これからお話することがお役に立つかもしれません。
この記事では、自分に合ったストレス対処法の見つけ方についてお伝えしますね。
何が間違っていた?
今日は休日。
窓から見える景色は雲一つない青空なのに、気分は重い・・・。
なぜって、今日は週1回の筋トレの日。
40歳を過ぎたら毎年1%ずつ筋肉が落ちていくらしい。
そんな調子で弱っていったら、数十年後はアパートの3階まで自力でのぼれないかもしれないし、冬場には1缶10ℓの灯油を運べなくなる。
そんな危機感から始めたジム通い。
それなりに効果はあって身体は締まってきたけど、なぜか楽しめなくて、義務感がまとわりつく。
これ、筋トレをしていた頃の私です。
「健康のため」だったはずなのに・・・
小さい頃から運動は好きではないし、「身体を動かすのが好き」という人の気持ちもよく分からない。
運動後にスッキリ感を感じることはあっても、それ以上に、呼吸が苦しくなったり、汗をかいて皮膚がベタつくのが気持ち悪くなったりして、運動が好きになれない。
「健康のため」と思って始めてみましたが、私みたいな運動嫌いな人間には筋トレはハード過ぎて、苦痛に感じるようになっていました。
それでも運動を続けられる理由
筋トレを始めて1年経った頃、楽しめていない自分に気付いてジムを退会しようかと考えることも。
でも、やっぱり心身の健康のために何かはしたい・・・。
そこで、筋トレをやめてヨガをすることに。
一人で黙々と「自分との戦い」とばかりにストイックな筋トレとは違い、ヨガはゆるく自分の内側に向き合う時間。
インストラクターの先生も、「ヨガは動く瞑想」と言ってたっけ。
「明日はヨガの日だぁ!」
「どんなに忙しくても、この時間はゆずれない」
いつの間にかヨガに行くのが楽しみに。
筋トレがダメで、ヨガがいいっていう話ではないんです。
自分に合わないことを続けていると、つらくなってやめたくなるけど、合っていれば続けられるということ。
Deb Dana先生が提唱する自分に合う対処法の見つけ方
今にして思えば筋トレは自分に合わないって、なんとなく分かっていた気がします。
でも、「なんとなく気が重い」という自分の感覚を無視して、「身体にいいから」と思って続けていました。
では、どうしたら自分に合う方法って見つけられるのでしょうか?
自律神経系の観点からトラウマセラピーを実践しているDeb Dana先生は言います。
「自分に合うかどうかは、あなた自身の神経系に聞いてみて」
ステップ1:声に出して聞いてみる
ここでは神経系に聞きながら、自分に合う対処法の2ステップをご紹介していきます。
もし本やネット上で見つけた対処法や人から勧められたアドバイスが5つあったら、まずひとつを選んで、声に出して自分に聞いてみてください。
たとえば・・・
「家の近くを散歩する」
読み上げたときに嫌な感じがしなくて、「やってみたいな」とか「できそうだな」と思えたら、紙に書き残します。
反対に「なんかきつそう」とか「楽しくなさそう」という感覚だったら、紙には書きません。
他の対処法も同じように自分の感覚に聞いて、「よさそう」と感じたものを紙に書きます。
ステップ2:自律神経系の3つの状態にふり分ける
ポリヴェーガル理論の発案者であるStephen Porges博士によると、私たち哺乳類の自律神経系は次の3つの状態に分かれています。
①落ち着いて、他者や外の環境に開かれて、好奇心がある状態(副交感神経がマイルドブレーキをかけている状態)
②イライラや怒り、不安や恐怖、パニックの状態(交感神経がアクセルを踏んだ状態)
③落ちこんで、希望がなく、無気力な状態(副交感神経が急ブレーキをかけている状態)
私たちは、つねにどれか一つの状態にいるわけではなく、3つの状態をいったり、きたりしています。
それぞれの状態に合わせて、対処法をもっておくことが、「自分に合った対処法」になります。
では、ステップ1で紙に書き出した対処法を①~③のどの状態のときにしたらいいか、自分の感覚に聞いていきましょう。
・「もし○○をしたら、もっと落ち着きを感じて、心が満たされそう?」
答えが「イエス」ならば、①の状態(マイルドブレーキ)のカテゴリーに入れます。
・「もし○○をしたら、自分や人を傷つけないで安全にエネルギーが発散できそう?」
答えが「イエス」ならば、②の状態(アクセル)のカテゴリーに。
・「もし○○をしたら、少し元気が回復できそう?」
答えが「イエス」ならば、③の状態のカテゴリーに。
この2ステップで、あなただけのストレス対処法が完成するはずです。
対処法のリストができたら、パソコンに貼ったり、スケジュール帳にはさんだりして、いつでも見ることができるようにしておきましょう。
まとめ
万人に合うストレス対処法なんて存在しません。
でも、あなたが自分の神経系に耳を傾けることで、あなただけの対処法を見つけることはできます。
今回ご紹介した2つのステップは、断捨離のようなもの。
ステップ1:「この服、着る?着ない?」と自分に尋ねて、「着ない服」はゴミ箱行きで、「着る服」は手元に残すように、あなたの神経系が「Yes」と言った対処法をリストに書き残す。
ステップ2:「着る服」を季節別、用途別などに分類するように、ストレス対処法をそのときどきの自律神経系の状態に応じてカテゴリーに分けておく。
この作業は時間がかかってちょっと面倒だけど、整理整頓したぶんクローゼットにも、あなたの心にもスペースができるのを感じられることでしょう。
特にストレスにさらされているときは、「あれやってみようかな?」「これやってみようかな?」なんて余裕のある考えは浮かびません。
そんなときにでもすぐに思い出せるように、自分に合った対処法の引き出しを作ってみてくださいね。
<参考文献>
Deb Dana.:How to Create a Pathways to Regulation Menu. <https://www.nicabm.com/making-a-nervous-system-menu/>