こんにちは。カウンセリングオフィスボイスのうえだふみこです。
あなたの職場や身の回りに、こんな女性はいませんか?
・注意されたり、都合が悪くなったりすると、人前でも泣く
・何かトラブルがあると「○○さんにそう言われたからやった」と言い訳する
・いつも弱々しさを前面に出して、周囲の同情を誘う
一見するとおとなしくて傷つきやすく、かわいそうな被害者に見えるかもしれません。
でも、なぜかその人と関わると、こちらが悪者にされたような罪悪感を抱いたり、
エネルギーを吸い取られて、じわじわと精神が削られていく・・・
これ、「受動攻撃」と呼ばれる、とても厄介な対人関係を操作するスタイルなのです。
この記事では、受動攻撃のメカニズムとあなたの身を守るための対処法についてお伝えしますね。
そもそも「受動攻撃」とは?
受動攻撃とは、怒りや不満といったネガティブな感情を、直接的な言葉や行動では表現しないで、遠回しな態度で表現すること。
「わざと大きなため息をつく」「聞こえるように嫌味を言う」はその典型例ですが、実はもっと厄介なタイプがあるのです。
それは、被害者ポジションをとって、「かわいそうな私」を作り上げて、攻撃してくる女性。
このタイプは、あからさまな嫌がらせをしてくるわけではありません。
しかし、弱者の仮面をかぶることで、周囲を翻弄して、職場をじわじわと疲弊させていきます。
「かわいそうな私」の特徴
・「私は悪くない」を徹底する:
「私はこう思う」という主語を使いません。その代わり、「○○さんから~するように言われたので」と、責任を取ろうとしない傾向があります。
・涙を武器にする:
都合の悪いことやミスを指摘されると、話し合いの途中で泣き出し、指摘した側に「言い過ぎたかな・・・」という罪悪感を植えつけます。
もちろん、純粋な傷つきや悲しさから涙が出るのは、とても自然なこと。
ここで言っているのは、本来守るべきルールや約束、業務上の責任をなし崩しにするための、他者コントロールのことです。

・指示は無視、保身は迅速:
こちらが頼んだ仕事や依頼には「はい」と返事はしても、なかなか動かない。動いたとしても鈍行列車のように極端に遅い。
ところが自分の立場が危うくなると、周りへの根回しや情報入手のための探りを新幹線ばりに速く入れ始めます。
こういう女性は、決して攻撃しているようには見えませんし、本人も攻撃しているという認識はありません。
しかし、弱者(被害者)になることで、相手を黙らせ、自分の思い通りに周囲を動かすという支配を無意識に行っているのです。
なぜこんな性格になるの? 「弱者型受動攻撃」のメカニズム
もともと日本には、「波風を立てず、調和を保つべき」「声を荒げて感情を出してはいけない」という文化的な土壌があります。
そのため、ストレートに怒りを表現せず、間接的に伝える「受動攻撃」が生まれやすい環境とも言えます。
私自身、20代半ばでカナダに留学した際、「発言しない者は『いない者』として扱われる」という強烈な文化の壁に圧倒され、必死に自己主張することを学びました。
しかし帰国後、日本の職場やコミュニティを見渡すと、自己主張を全くしない代わりに、独自の生存戦略として「かわいそうな私」を武器にしている女性たちが少数ながら必ず存在することに気づいたのです。
彼女たちは、なぜストレートな自己主張ではなく、この方法を選ばざるを得なかったのでしょうか?
その根深い自己防衛システムを紐解いてみましょう。
怒りや自己主張を禁止されて育った
「かわいそうな私」は、「自分の意見をストレートに言うこと」や「怒りを表現すること」を許されない環境で育っていることが圧倒的に多い。
直球で「嫌だ!」「こうしたい!」と言おうものなら、怒られたり、見捨てられたりしてきたのです。
そのため生き残る戦術として、「弱々しく泣く」「言う通りにするふりをしてサボる」という、間接的に不満をぶつける方法を身に付けるしかなかった・・・
「相手に察してもらうこと」「陰でコントロールすること」でしか自分の欲求を満たせなくなってしまった・・・
健全な怒りの表現方法を学ぶ機会を逃してしまい、根底には「自信のなさ」と「自己主張への恐れ」を抱えた「被害者」の側面もあるのです。
肥大化した依存心と傷つきやすい心
彼女たちは「ありのままの自分」を認められた経験が少なく、「確固たる自分」が育っていません。
そのため自分で責任を負うのが怖くて仕方ない。
ガラス細工のように傷つきやすい心をつねに抱えています。

問題が発生したら、「私は無力で弱い存在」をアピールして、周りが守ってくれたり、ミスをしても責められないように持っていく。
主語を「私」ではなく、「○○さん」にするのは、「私が決めたことではないので、失敗しても私のせいではありません」という逃げ口上を打つための伏線なのです。
人間関係を「信頼」ではなく、「自分が傷つかないための『将棋の駒』」として扱っているのです。
「無能感」を隠すための、人一倍高いプライド
「かわいそうな私」を見ていると、首をかしげるのは「なぜかプライドだけは人一倍高い」という点。
「私はみんなから必要とされている」「私は○○さんより優れている」と内心思っているのが、言動の端々からにじみ出ている瞬間があります。
「その自信は一体どこから出てくるんだろう?」と思わずにはいられない。
実は、これは実績を伴った「大人の自尊心」ではなく、心の底にある「無能感」と向き合わないための虚勢によるものなのです。
一見プライドが高そうに見えても、本当は真逆。
心の底にある猛烈な「無能感」や「劣等感」から自分を守るために、プライドを膨らませるしかない。
その証拠に、自分より年齢や経験年数などが「下」と思った相手の前では、先輩風を吹かせる。
普段の弱々しい態度からは想像もできないほど、「攻撃は最大の防御なり」とばかりにマウントをとるのです。
とにかく自分を守るために必死で、その手段が「受動攻撃」として身体に沁みついているとしか言いようがありません。

「悲劇のヒロイン」になることで得られる万能感
年齢的には立派な大人なのに、子どものように泣いたり、弱った姿を見せることで、「かわいそうな私」は簡単に自分の環境を無敵状態にできてしまいます。
人は自分が「加害者」に仕立て上げられない限り、「もういいじゃない」と穏便に事を済ませたくなるもの。
職場では、たとえ「かわいそうな私」に落ち度があったとしても、「大ごとにしたくない」「面倒なことにしたくない」という心理が働いて、上司や周りは「大変だったね」となだめすかし、特別扱いをしていくのです。
こうして、「かわいそうな私」は、歪んだ万能感が満たされて「悲劇のヒロイン」へと化していきます。
これこそが、彼女たちが無意識に被害者ポジションで職場を支配し、周りを疲弊させていく構図なのです。
被害者ポジション女性に振り回されないための3つの対処法
このような面倒くさい女性が職場にいたら、どう対処したらいいのか?
彼女たちに悪意を分からせようと真正面から戦おうとしたり、親身になって優しくさとしたりするのは、得策ではありません。
そんなことをしようものなら、「責められた、攻撃された」と「加害者」に認定され、あなたの立場が危うくなります。
見落としてはいけないのは、彼女たちの弱者型受動攻撃は、長い時間をかけて身に付けた「生存戦略」であるということです。
このことを踏まえて、大人な対応で対処しましょう。
境界線を引く
・正当な業務連絡や指摘をしているとき相手が泣いた場合:
「いつものパターンだな」と気付いて、「泣いているのは、この人自身の感情のコントロールの問題であり、私の責任ではない」と心の境界線を引く
・「どうしたらいいですか?」とこちらに判断を委ねてきた場合:
どんなにいいアイデアがあったとしても、代わりに考えてあげないで、「○○さんは、どうしたらいいと思いますか?」と相手に投げ返して考えさせる
言い訳を許容しない
・「時間がなかった」「体調が悪かった」など、言い訳をして投げかけをはぐらかそうとした場合:
「そうなんですね。そういった事情で考える余裕がないのであれば、この業務を続けるのは無理ですね」と返し、言い訳をそのまま「特権の剥奪」の正当な理由として事務的に使う
・「○○さんから~と言われたので」と他者の名前を出してきた場合:
「○○さんがそう言ったのはわかりました。それで、あなた自身はどう考えてその行動をとったんですか?」と主語を相手に戻す
周りにあなたの味方を増やす
・彼女以外の同僚や友人に対して、あなたを「信頼できる人」として確立する:
いつも礼儀正しく、親切で、誠実に接していると、彼女が陰であなたの悪口を言ったり、陥れようとしても、「あの人がそんなことするはずがない」とあなたを守る側になってくれる
・職場のキーパーソンとの関係を強化する:
職場ならば上司や人事、コミュニティならば影響力のある人と、普段から良好な関係を築いておくと、いざというときに相談にのってもらえる

まとめ
私自身、臨床心理士という職業柄、「困っている人を助けたい」という思いから、相手の隠れたコントロールに気づけず、境界線を越えられて苦い思いをしたことが何度もありました。
相手の「悲劇のヒロイン劇場」のメカニズムがわかるようになってからは、弱さを出されても心の中で「ああ、これはいつものパターンだな」と冷静に捉え、境界線を引けるようになりました。
善意や優しさを持っている人ほど、こうした受動攻撃のターゲットになり、「私が我慢しなければ」「助けてあげなければ」と罪悪感でボロボロにされてしまいがちです。
でも、他者の依存心を満たすために、あなたが悪者になったり、自分の身を削ったりする必要はありません。
相手を変えることはできなくても、そのメカニズムを「知る」だけで、心の負担はグッと軽くなります。
もし、職場の対人関係でどうしても毅然とした境界線が引けず、罪悪感やストレスで心が限界だと感じるときは、一人で抱え込まずにプロの力を頼ってくださいね。
この記事が、あなたの心を守るちょっとしたヒントになれば嬉しいです。