こんにちは。
カウンセリングオフィスボイスのうえだふみこです。
カウンセリングを受けると決めたとき、
私たちの心の中にはさまざまな思いが浮かんでくるのではないでしょうか?
「長年抱えてきたこの生きづらさを、誰かに分かってほしい」
「もうこれ以上傷つかないように、誰かに正しい答えを出してほしい」
「私のこの苦しみを、まるごと受け止めて癒してほしい」
こんな風に、心の中で誰かに救いを求めた経験はありませんか?
それは決して悪いことではありません。
むしろ、それくらいあなたが追い詰められている証拠とも言えます。
私も窮地に追い込まれたとき、
「誰かに助けてほしい!」と心の中で叫んだことがあります。
心が疲れ果てているときには、誰かに優しく話を聞いてもらうこと、
「あなたは悪くないよ」と共感してもらうことは、
心を温めるための第一歩になります。
ただ、もしあなたが
「いつまでもこの苦しみから抜け出せない」
「なぜか同じような人間関係のトラブルを繰り返してしまう」と感じているなら、
少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。
「ただ話を聞いてもらうこと」と「生きづらさを変えること」は、
似ているようで違う目的地に向かっていることを。
この記事では、本気で生きづらさと向き合い、自分の足で「生き方を変えたい」と願っているあなたに向けて、「効果のあるトラウマケアの選び方」についてお伝えしますね。

「ただ話すこと」の心地よさと、その限界
カウンセリングという安全な場所で、自分の気持ちを言葉にすると胸がスッキリしますよね。
誰にも言えなかった愚痴・・・
胸の奥に温存していた怒り・・・
一人で抱えていた悲しみ・・・
こんな気持ちを自分の中から出すだけで、
心は軽くなったり、肩の荷がおりてホッとする瞬間は確かにあります。
ただ、ここで一つ自分に問いかけてみてほしいのです。
何回話しても、数日経つとまた同じモヤモヤが始まって、
「現実は何も変わっていない」という徒労感が忍び寄っていませんか?
愚痴を吐き出したり、
誰かに「それはつらかったね」と共感してもらったりする時間は、
一時的な鎮痛剤にはなります。
でも、残念ながら根本的な変化につながらないことが多いのです。
どんなに優しく話を聞いてもらっても、
あなたの身体の中にしみついたトラウマの記憶や、
心の中で戦い続ける「防衛システム」は、そのままそこに存在しています。
もしかしたら、「聞いてもらうこと」は、
「自分ではどうすることもできないから、誰かになんとかしてもらうしかない」
という無力感を強めてしまうことさえあります。
カウンセリングは「誰かに救ってもらう場所」ではない?!
少し耳の痛い話になるかもしれませんが、でも本当のことだから言いますね。
カウンセリングは、カウンセラーという魔法使いが、
傷ついたクライエントさんを救い上げてくれる場所ではありません。
また
「どうしていいのか分からない。誰か決めて!」って思うような、
人生の大きな決断を代わりにしてくれるわけでもありません。
「じゃあ、なに?」って思いますよね。
カウンセリングって、
カウンセラーという安全な(少なくとも、危険ではない)伴走者と一緒に、
あなた自身の中にある力を取り戻して、
自分で自分の人生の舵を握りなおすための共同作業です。
カウンセラーは、一時的に歩けなくなったときの松葉杖のようなもの。
本来あったはずの歩行能力が回復するまで、
歩きやすくするためのサポート役なのです。
その大前提として、クライエントさんの「歩こう」という意志がなければ、
道をガイドすることもできません。
世の中には、「ここであなたを癒してあげますよ」
「あなたの悩みをすべて引き受けますよ」という雰囲気のサービスも多く存在しますよね。
つい、「私を理想の道へと導いてほしい」「先生が何とかしてくれるはず」って、すがりたくなりこともあるでしょう。
でも、その依存的なスタンスのままでいるとしたら、
おそらくどんなに高額な費用を払っても、どんなに有名な専門家のところに行っても、
そこに「あなた」という主役がいなかったら望む未来は訪れないのではないでしょうか?

身体と心からアプローチするということ
では、本気で人生を変えるトラウマケアとは、
どのようなものでしょうか?
心理士として約20年の臨床経験の中で、
「ただ話を聞いてもらう」スタイルのカウンセリングに限界を感じるようになった私。
そんな私が辿り着いた先は、
ソマティック・アプローチ(身体感覚)と内的家族システムモデル(IFS)でした。
そう、身体と心からのアプローチです。
この2つのアプローチは、「頭で考えること」から離れて、
自分の身体の感覚と内なる声を深く探究して、
主体的に向き合っていくための方法です。
ソマティック・アプローチ(身体志向のアプローチ)
トラウマや慢性的なストレスは、普段はフタをして感じないようにしたつもりでも、
神経系や身体のクセとして、身体の奥に深く刻み込まれています。
「なぜ、こんなに不安になってしまうのか?」と、
理屈で考えても、肝心の身体の方がサバイバル・モード(闘争・逃走・フリーズ)に入っている限り、
真に安心感を得ることはできないのです。
ソマティック・アプローチでは、「今この瞬間」の身体の感覚に、
感じても大丈夫な程度に注意を向けて、
神経系が「もう大丈夫」と気づくプロセスを、
カウンセラーのガイドによって自分の身体の力を使って進めていきます。
例えば、職場の嫌な同僚のことを考えると、胸のあたりがモヤモヤしてくる。
「そのモヤモヤに色があるとしたら、何色ですか?」
「もしモヤモヤが人だったとして、言葉を持っていたら、なんて言ってそうですか?」
こんな感じで、クライエントさんの身体の感覚をご自身で感じ取ってもらい、
身体が発する声を拾っていきます。
そして、当時できなかったことをイメージの中でやってみたり、
言ってみたりすることをカウンセラーは促していくのです。

内的家族システムモデル(IFS)
私たちの心の中には、「もっと頑張りたい」とか、「変わりたい」という思いとは裏腹に、
「もうこれ以上、頑張りたくない」とブレーキを踏む自分(プロテクターのパーツ)もいますよね。
他にも、
過去の傷ついた痛みを一人で抱え込んでいる自分(傷ついたパーツ)もいたりして、
心の中にはいろんな登場人物(パーツ)が住んでいます。
そんないろんな人たち(パーツ)の声に耳を傾けて、
心の中の会議の進行役をするのがカウンセラーです。
そして、会議の中で意見や感想、はたまた要望を上げるのは、
他ならぬあなたの中のパーツたちです。
どちらのアプローチも、
「自分の内側と向き合う勇気」と「変化を起こすためのエネルギー」が必要です。
だからこそ、誰かに依存するのではなく、
対等なパートナーとしてのカウンセラーと一緒に取り組む姿勢が不可欠になるのです。
本気で人生を変えたい人のためのトラウマケアの選び方
もしあなたが「今までは愚痴を聞いてもらってきたけど、あまり変わらなかった」
「そこから卒業して、自分の足で立って、自分の人生を歩いていきたい」と願うなら、
カウンセリングを選ぶ基準を少し変えてみるタイミングです。
では、その基準を見てみましょう。
1.「答えをくれる人」ではなく「一緒に向き合ってくれる人」かどうか?
あなたが自分で答えを見出せるように、安全な境界線を引いて伴走してくれる専門家を選びましょう。
2.「ただ話す時間」以上の、具体的なアプローチがあるか?
単なる傾聴だけではなく、身体感覚に意識を向けたり、
心の中のメカニズムを整理したりする方法を持っているかどうかがポイントです。
3.あなたの時間・お金・エネルギーを投資する覚悟があるか?
カウンセリングは、時間や経済的なコストがかかる自己投資です。
「誰かに救ってもらうための消費」ではなく、
「自分の人生を、自分で作り上げていく能動的な作業」として、捉えられるかどうかは、
結果を大きく左右します。

まとめ
「変わりたいけれど、どうしたらいいのか分からない」
「自分の足で歩みたいけど、なぜか立ち止まってしまう」
そんな葛藤を抱えながらも、「自分の人生をこのままでは終わらせたくない」という、
心のどこかで切望している人を、私は心から応援しています。
お互いの境界線を尊重しながら、対等なパートナーとして、
あなたの眠っている力(リソース)を引き出していく。
そのプロセスの伴走者として、トラウマケアという選択肢があることを知っていただけたら嬉しいです。