習慣化が難しいのには理由があった?!|続けられない理由とその対策

こんにちは。カウンセリングオフィスボイスのうえだふみこです。

スポーツジムに英会話。
通信教育にカルチャーセンター。

新しい年が始まる春先って、習い事の折り込みチラシや広告を目にする機会が増えますよね。

何か始めてみようかな?
でも、今まで続いたためしがないし・・・
う~ん、でもやっぱりなんかしたいなぁ・・・

この記事では、何か始めたいけれど迷っているあなたに、習慣化ができるようになるための秘訣をお伝えしますね。

脳は変化を嫌う?!

自分のために始めたはずのいい習慣でも、だんだんやる気が失せて「まぁ、いいかぁ」ってなっちゃうことってありますよね。

「私って、飽きっぽいんですよね」
「一つのことを長く続けられないんです」

続けられない原因を自分の性格のせいにするのもありだけど、それって性格だけの問題でもないのです。

じゃあ、何なの?

それは私たちが人間だから。

人間は生まれながらにしてホメオスタシス(生体恒常性)と呼ばれる機能を備えていて、そもそも変化を好まない生き物なのです。

体温は、その一例。
どんなに外が暑くても、寒くても身体は一定の温度を保とうとしますよね。

変化する環境の中でも自分を保って生き残るために、人はホメオスタシスという機能を獲得しました。

この働きは自律神経系を調整する脳に組み込まれているため、別の言い方をすると「脳は変化を嫌う」とも言えます。

だから、あなたが続けられないのは、性格のせいだけじゃないのです。

習慣化とは、○○習慣を付けること

では「人は変化を好まない」ということを大前提として、それでも何か新しいことを始めて、続けるためにはどうしたらいいでしょうか?

私の場合。
合氣道を始めて4ヶ月が経ちました。

最初の頃は意気揚々として出かける準備をしていましたが、冬の寒さが深まるにつれて外出そのものが億劫になってきました。

このまま家にいたら、あったかい場所で、飼い猫とのほほ~んとした土曜の夜を過ごせてしまう。

別に行きたくない理由なんてないんです。
ただ、億劫なだけなのです。

いや、違うな。
合氣道の技を一つ覚えたつもりでも、次の稽古ではすっかり忘れている自分にショックを受けるのが嫌なのかもしれない。

ずばり、習慣化とは良い習慣を付けること。

「きれいな水を一滴ずつ垂らす」という考え方

では、良い習慣を付けるとはどういうことなのでしょう?

心身統一合氣道の会長である藤平信一氏は、習慣化のコツとして「悪い習慣を取り除くよりも、良い習慣を付けることが大事」と言います。

コップに水を張り、そこに一滴の赤いインクを垂らすと、コップの水は赤く染まります。
この状態からインクだけを取り除くことは難しい。
このインクとは、悪い習慣を指します。

では、インクで染まったコップの水にきれいな水を一滴ずつ垂らすとどうなるでしょうか?
数滴水を垂らしただけでは、目に見える変化は起きません。

でも、諦めずに水を一滴ずつ垂らし続けると、時間はかかってもコップの水はしだいに澄んできます。
これがよい習慣へと変わるということ。

私に当てはめてみると・・・
土曜の稽古を休んで家でだらだらと過ごすことが悪い習慣。

でも、億劫でも稽古に向かうことが、きれいな水を一滴ずつ垂らす行為となり、よい習慣へとつながるというわけです。

続けるための工夫として、
スケジュール帳に「合氣道」と記入しておいて、視覚的なリマインダーを使ったり、
稽古の帰り道にご褒美感覚で和菓子を買ったりしていますが・・・

「あ~、今日どうしようかな?」と一瞬迷いがよぎったときに、「きれいな水を一滴垂らす」という考え方で乗り切っていることが案外多いのです。

習慣化の2つのポイント

「あいつを見返したい!」とある日突然やる気スイッチが入って、ストイックにダイエットに励む人。

大病を患ったことがきっかけで、不摂生生活から健康オタクにシフトする人。

こういう人たちは短期間でコップの水をすべて入れ替えるくらいの勢いで、変化を起こしますよね。
それに比べたら、水を一滴ずつ垂らすような変化って、とっても地味。

では、習慣化するには、どちらのやり方がいいのでしょうか?

藤平氏は言うのです。
「習慣を変えるには、『意識に深く入れる』ことと『繰り返す』ことがポイント」。

意識に深く入れる

たとえば、誰かを見返したい悔しさでダイエットに一念発起する人は、心の痛みや傷つき体験がきっかけにだったり、

大病から生還して健康志向になる人も、「このままじゃダメだ」という危機感に突き動かされていたりする。

共通しているのは、変化の前に意識に深く刻まれるような体験をしているということ。
日常生活を送っている中で、そういう体験が「起きた」という偶然性があるのです。

だけど、そんな意識に深く入る体験は望んで起こせるものではないですよね。

では、どうすればいいでしょうか?

そこで重要になってくるのが、「繰り返す」こと。

繰り返す

繰り返すとは、「きれいな水を一滴ずつ垂らす」こと。

水だったらインクの色で分かるけど、実際にはいつまでこの「一滴ずつ垂らす」をしたらいいでしょうか?

意識に深く入るまで続けるのです。

「身に付くまで」とも言えます。
身に付くとは、文字通り、頭で考えなくても自然と身体に定着していること。

たとえば、自転車の乗り方。
子どもの頃は、補助輪なしでは乗れなくて、手足の動きもアンバランスだったはず。

転んだり、ぶつかったりしながらも諦めなかった結果、今では二人乗りまでできるくらいになってたりするかも。

これくらい手続き記憶に定着するまで身体で覚えてしまったら、10年くらい自転車に乗らなくても乗り方を忘れるってことはありません。

別に変らなくてもいいけれど・・・

そもそも習慣化って、思っている以上に地味な作業です。
まずそのことを心に留めておきましょう。

そのうえで、自分に問うのです。

「それでもやりたいか?」
「これをやり続けた後にどんな景色を見たいのか?」

登山でも山頂まで登らなくても、眼下に映る景色は写真や動画でも見ることはできます。

別に変らなくてもいいけれど・・・
習慣化を身に付けた先に見える景色を、自分の目で、耳で、肌で感じる臨場感は何ものにも代え難い豊かな体験だと思うのです。

まとめ

何か新しいことを始めてもなかなか続かなくて「飽きっぽい性格だから」と思い込んでいた頃に、知りたかった内容を今回はお伝えしました。

まずは一滴のきれいな水を垂らしてみましょう。

<習慣化を効果的に実践するコツ>
・脳は変化を嫌うことを知る
・悪い習慣を取り除くよりも、良い習慣を付ける
・意識に深く入るまで繰り返す

<参考文献>
藤平信一(2009):心を静める.幻冬舎.

上田 富美子(うえだ ふみこ)

心理学の知識やスキルを日々の生活で活かして、心も身体も健康になって、人生を豊かにしたい人のためにブログを書いています。

臨床心理士・公認心理師・SEP(ソマティック・エクスペリエンス・プラクティショナー)

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