子どもも大きくなり、仕事のステップアップを考えはじめて、公私ともに順調に過ごしていたAさん。
しかし、SNSの誹謗中傷によって、それまでの平和な毎日が一転しました。
どこの誰が書いたのかも分からない。
会う人会う人を「この人かも?」と疑わずにはいられない。
仕事には行くものの、誹謗中傷してくる相手は職場にいるかもしれない。
どこに地雷があるのか分からないような日々の中、神経をすり減らして眠れなくなっていました。
「誰かがいつも自分を監視しているような気がして、外に出るのが怖かった。」
「不眠が続いて、毎日がつらかった。」と言います。
カウンセリングを受けてAさんはどう変わったのでしょうか?
「心が軽くなって、よく眠れるようになった。」
「周囲の人に対しても、不安を感じることなく接することができるようになった。」と振り返ります。
さらに・・・
「自分はこのままでいいんだと思えて、前に進むことができた。」と言うAさん。
本来の姿を取り戻していくAさんは、症状が緩和しただけでなく、自己受容も進んでいたのでした。
カウンセリングをはじめた頃のAさんは、神経系がとても高ぶっていました。
誹謗中傷の内容を思い出すだけでも苦痛な表情を浮かべるAさんには、2つのことを事前に伝えました。
①どんな内容だったのか話さなくてもいいこと
②思い出すとどんな感情や身体の感覚がするのか教えてほしいこと
Aさんはこの2つを守ってくださったので、実際どんな出来事が起きていたのか詳しいことを私は知らないのです。
でも、知ることはそれほど大事なことではありません。
大事なのは、Aさんの身体の中で起きている反応に気付いて、身体がしたいことをしてあげること。
Aさんがつらくなりすぎないように、Aさんの持っているリソース(資源)を感じてもらいながら、神経系にたまっている余分なトラウマのエネルギーをゆっくり少しずつ解放していきました。
Aさんはそのときのことをこう語ります。
「今まで見ていたものの色が鮮明になり、綺麗なものを心から綺麗と思えるようになり、自分の目と心に映るものの感性が変わって、世界が変わった。」
もともと健康度が高いAさん。
Aさんとの協働作業では、人が本来持っている自己回復力の偉大さを見せていただいた気がします。